地球上の水の約97%は海水であり、淡水は約3%といわれています。さらに、その淡水の約99%は南極などの氷床や地下水であり、人類が直接的に使用可能な淡水は、地球上の水のうち極めてわずかなものです。
こうした厳しい水資源の現状に対して、豊富な海の水を利用して乗り越えようとするのが、「海水淡水化技術」です。
海水から塩分を取り除いて淡水を得る手法には、大きく分けて「蒸発法」と「膜法」の2つがあります。
蒸発法は、海水を加熱し蒸気を冷却して水を得る方法で、実用化されている主な手法として多段フラッシュ法、多重効用法などがあります。この手法は単純かつ安全ですが、加熱のために莫大なエネルギーを消費することで高いコストがかかる問題があります。
膜法は、フィルターに海水を通し、塩分を含まない水だけを得る方法で、実用化されている主な手法として逆浸透法があります。これは、海水に圧力をかけて、その圧力のある海水を、特殊な膜(水は通すが水に溶けている塩類は通しにくい性質を有する膜;半透膜)を用いて真水のみを透過させて淡水を得る方法です。
その他の方式として、冷凍法、透過気化膜法(膜蒸留法)があるが、実験研究を除き実施例は多くありません。
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