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 黄砂は中国大陸内陸部のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土高原など、乾燥・半乾燥地域で、風によって数千メートルの高度にまで巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風に乗って日本に飛来し、大気中に浮遊あるいは降下する現象です。
 従来は、風によって砂塵が運ばれる自然現象として理解されてきましたが、最近ではその頻度と被害が増大しており、急速に広がりつつある過放牧や農地転換による土地の劣化等との関連性も指摘されています。そのため、森林減少、土地の劣化、砂漠化等の人為的影響による側面もある環境問題として認識が高まっています。
 風によって大気中に舞い上げられた黄砂は、発生源地域周辺の農業生産や生活環境に被害を与えるばかりでなく、大気中の黄砂粒子を核とした雲の発生・降水過程を通して地球全体の気候に影響を及ぼすしています。
 一方で、炭酸カルシウムを含みアルカリ性である黄砂は、飛行途中で酸性雨の原因物質を吸着し、中和する効果があるともいわれています。
 また、リンやカルシウム、鉄などの無機養分が付着しており、海に落ちると鉄分などの供給源となり、東シナ海では黄砂が供給する栄養分で植物プランクトンが増え、これを餌にした魚介類が育つのに役立つなど、環境面でのメリットも指摘されています。

参考資料:黄砂パンフレット(環境省)(PDF) 
参考資料:黄砂ってなに?(環境省) 

 黄砂対策には、黄砂影響地域の被害を緩和することを目的とする短期的な対策である予報・警報と、黄砂の発生・発達過程そのものを改変し、黄砂の発生自体を抑制することを目的とする長期的な対策である発生源地域の保全など様々な取組みがあります。
 さらに黄砂は、国境をまたぐ環境問題であることから地域別の対策として、発生源地域における対策と影響地域における対策が必要となります。
 発生源地域である中国では、砂漠化の進行により新たに土壌の劣化や植生の減少によって飛砂の発生源となっている地域を対象に、「自然保護区の設定により、植被破壊を防止し、植生の自然回復を図る。」「防護林による砂丘の固定化を行う。」「発生源地域の砂の移動の管理(草方格、空中播種等)を進める。」等の対策が行われています。
 日本では、黄砂の発生をいち早くとらえ、その発達状況・移動状況を把握して、黄砂の規模と強さを予報し、また早期警報を行い住民への注意喚起を促すため、中国大陸北西部から日本列島に至る広い範囲で、黄砂観測網の整備が取り組まれています。
 今後も、関係国と連携して観測データの共有化に努め、北東アジア地域における黄砂モニタリングネットワークの整備及び早期警報システムの構築を進めていくことが計画されています。

参考資料:黄砂問題検討会報告書集(環境省) 


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