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 都市部では夜に空を見上げても、星があまり見えません。この理由として、大気汚染物質などによる空気の汚れだけでなく、街路灯やネオンなど様々な屋外照明の光によって夜空が自然な状態より明るくなっていること影響しているそうです。
 こうした照明対象範囲外に照射される「漏れ光」等によって、引き起こされる障害が「光害」であり、これも大気汚染や地球温暖化等と同様に深刻な環境問題のひとつです。
 「光害」の定義については、国際的な統一はされていませんが、環境省「光害対策ガイドライン」には、以下のように定義されています。

「光害」の定義
良好な「照明環境」の形成が、漏れ光によって阻害されている状況、又はそれによる悪影響を「光(ひかり)害」と定義する。狭義には、障害光による悪影響をさす。

 光害による被害は例えば、人間への影響としては安眠妨害やプライバシーの侵害、ギラギラした照明によるまぶしさや道路標識などが見にくくなる、照明と信号機の誤認等があります。
 動植物への影響としては、近くに外灯などの照明がある場合、ホタルの生育不良や光を発しなくなったりする報告があります。またウミガメの産卵への障害、夜行性鳥類の消失、植物の開花や紅葉の狂い、稲の出穂異常についても影響が報告されています。外灯の光にたくさんの昆虫が寄り付くことも光害のひとつと言えるでしょう。漏れ光があるため、より遠くから昆虫を誘き寄せる要因になると考えられます。
 さらに、天体観測への影響やエネルギーの過剰消費による地球温暖化へ影響も問題視されています。このように、光害には私たちのまわりの自然環境や社会環境に対し様々な影響があるそうです。

出典:光害防止(グリーン・ライティング)キャンペーン・パンフレット

参考資料:環境省 光害対策ガイドライン  

 光害の対策というと、原因とされる照明を「消す」とか「撤去する」という対策が考えられますが、その方法が必ずしも適切な対応とは限らないそうです。
 屋外で照明が設置されている場合、そこには照明を必要とする何らかの理由・目的があります。それらを無視して照明を取り除く対策は必ずしも適切とは言えません。

 そこで、光害の原因解消に対応した設計の照明器具に置き換えるなどして、必要な照度、照明目的を確保しつつ、周囲への悪影響を起こさせないことが、適切な光害対策となるようです。

 現在、光害自体を取り締まる法律は作られていませんが、環境省では不適切な照明による、天体観測や動植物の生育などへの悪影響を防止し、良好な照明環境(望ましい光の環境)の実現を図り、省エネを実現して地球温暖化防止等を目的とした「光害対策ガイドライン」を策定しています。

 また、光害の概要とその対策方法や、地方自治体が独自に「地域照明環境計画」を策定する上でのポイントをとりまとめた『地域照明環境計画策定マニュアル』が策定されています。

 全国には、光害による影響が深刻で差し迫った環境問題となっている事例も多く、こうした地域においては、地方自治体が独自の条例で光害の取り締まりや制限を行っているところもあるそうです。

出典:光害防止(グリーン・ライティング)キャンペーン・パンフレット

参考資料:光害防止制度に係るガイドブック(概要版)  
参考資料:地域照明環境計画策定マニュアル  


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