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石炭は長い期間にわたって、主要なエネルギー源として利用されてきました。1960年代以降、エネルギー源の主役は石炭から石油に移行しましたが、現在でも、国内の1次エネルギー供給源としては、石油に次いで第2位となっています。
原油やLNG(液化天然ガス)等の他の化石燃料と比較して、安価で埋蔵量が最も多く、採掘地が世界各地に分布しているなどのメリットから、エネルギーの安定供給維持も面からも火力発電所の重要な燃料源などに石炭の利用が見込まれています。
しかし、消費量が増加するとそれに伴い、「燃焼時のCO2排出量が多い」「SOx、NOx、ばいじん等の大気汚染物質の排出量が多い」「個体のため輸送や取扱が不便」「燃焼後の石炭灰の処分が必要」などの石炭のマイナス面も大きくなる問題があります。
そこで、1980年代半ばから「クリーンコールテクノロジー(CCT:Clean Coal technology=環境低負荷型の石炭利用技術)」の研究開発が進められており、現在では、日本は石炭利用における環境対策において、世界のトップランナーと言われる状況にあります。
クリーンコールテクノロジーの要素技術は、石炭の採掘から発電所での燃焼、排ガス処理といった石炭の利用に関するすべての段階に関連しており、こうした技術の実用化により環境負荷を抑えながら石炭の効率的利用が可能となっています。
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「クリーンコールテクノロジー体系」
出典:日本のクリーンコールテクノロジー((財)石炭エネルギーセンター )
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参考資料:JCOAL 財団法人 石炭エネルギーセンター
参考資料:国際資源開発人材育成プログラム|石炭の学習
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地球温暖化対策が世界規模で解決すべき緊急課題となっている現代社会。クリーンコールテクノロジーは、石炭利用においてこの問題の有効な解決策となり、CO2削減に大きく貢献できる技術としても注目されています。
その中でも特に注目されているのが、「石炭ガス化技術」です。これは、石炭に酸素、空気、水蒸気等を接触させて、水素や一酸化炭素、メタン等のガスを得る技術です。この技術を利用して、石炭をガス化して可燃性ガスに変換し、複合サイクル発電を行うことにより、発電効率の向上と環境負荷の削減を達成する発電方式が、「石炭ガス化複合発電(Integrated Coal Gasification Combined Cycle:IGCC)」です。
IGCCは国内でも実証試験が行われており、実用化が期待されています。従来の石炭火力の発電効率が約42%であるのに対して、商用段階のIGCCでは約50%の高い効率が予測されています。
国内では福島県いわき市において、出力25万kW のIGCC 実証機が建設され、実用化に向けた運転試験が行われています。
また、IGCCに燃料電池を組み合わせることで、一層の高効率化を図る「石炭ガス化燃料電池複合発電(Integrated Gasification Fuel Cell:IGFC)」の開発が進められています。この技術は実現すれば55%以上の発電効率が可能となり、既存の微粉炭火力に比べてC02排出量を約30%低減することが見込まれます。
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出典:資源エネルギー庁「日本のエネルギー2008」 |
参考資料:クリーンコールテクノロジー - 環境技術解説|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア
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