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 太平洋上では東から西へ「貿易風」と呼ばれる風が吹いています。
 この貿易風により海面付近の暖かい海水は太平洋西側のインドネシア近海に移動していきます。暖かい海水が西側に移動して海面の海水が少なくなった南米ペルー沖では、深いところから冷たい海水が海面近くに上昇してきます。こうした暖かい海水の移動により、太平洋では東側と西側の海面水温に大きな差が生まれています。
 しかし、何らかの原因により貿易風が弱まると、逆に西側のインドネシア近海の暖かい海水が東側に移動してペルー沖の海水温が上昇していきます。こうした現象が「エルニーニョ現象」と呼ばれています。
 このように、太平洋の赤道近くの広い範囲で海水の温度が変化すると、その付近の雨の降り方や気温、風のふき方などが変化していきます。さらに、世界各地の雨や雪の降り方、気温、気圧配置などにも影響します。
 実際にエルニーニョ現象が発生してから、インドネシアの大干ばつ、南アジアの集中豪雨、南米北部の気温上昇や干ばつなど、異常気象が世界各地で起きています。

エルニーニョ現象に伴う
太平洋熱帯域の大気と海洋の変動
出典:気象庁 | エルニーニョ/ラニーニャ現象とは

参考資料:気象庁 | エルニーニョ現象に伴う日本の天候の特徴 

 エルニーニョ現象が発生すると、インドネシア近海などの西太平洋熱帯域における海面水温が比較的低下し、積乱雲の活動が少なくなります。
 このため、夏には日本付近への太平洋高気圧の張り出しが弱くなり気温が低く、雨が多く、日照時間が少ない冷夏となる傾向があります。
 また、冬には西から吹く偏西風の流れが変わって、シベリアから日本に南下してくる寒気のコースが平年より北に偏ります。これにより、冬型の西高東低の気圧配置が弱まり、気温の高い暖冬になりやすい傾向にあります。
 実際に、20世紀の後半にエルニーニョ現象が発生していた冬は13回ありましたが、西日本や南西諸島では寒さが厳しい冬が少なく、平年並の冬か暖冬が多く記録されています。

【日本の天候へ影響を及ぼすメカニズム】
出典: 気象庁 | 日本の天候へ影響を及ぼすメカニズム

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