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 最近、農林業の廃棄物や廃木材、食品廃棄物などの有機物(バイオマス)を炭素化した「バイオ炭」が世界中で注目されています。
 大気中の二酸化炭素は植物が行う光合成によって有機炭素となり、植物の中に貯蔵されていきます。それを炭化することによって化学的に安定な炭素に変え、土壌や水に用いることで、土壌改良や水質浄化につながり、農作物や樹木などの生長促進となるだけでなく、安定度の高い炭素そのものを、土壌や水中に長期間にわたり封じ込めることができます。
 地球温暖化をもたらす二酸化炭素を、このような方法で貯蔵・固定化できるところにバイオ炭が注目を集める理由があります。

 日本では昔から有機物から作られた炭を、農地の肥料としても利用しており、炭の農業応用について多くの研究成果を得ている炭利用の先進国です。
 こうしたノウハウを世界に発信すると共に、バイオマス炭を使った地球環境保全支援活動を実践する組織として2009年4月に日本バイオ炭普及会が発足しています。
 また、農林水産省によって、バイオ炭を利用した土壌による温室効果ガスの削減効果や、農作物や樹木などの生長促進による増収など営農効果について、実際に効果の有無や経年変化などを3年間の実験で明らかにするために、農地に固定される炭素について実証する「土壌炭素の貯留に関するモデル事業」が、日本各地で2009年4月より開始されました。

参考資料:「バイオ炭(炭の土壌改良材)の普及に関する実践的調査研究」
- 財団法人 中部産業・地域活性化センター (CIRAC)(PDF)
 

 有機農業の普及や数々の研究成果により国内で炭の農業利用技術がほぼ完成の域に達した1990年代以降、JICA(独立行政法人国際協力機構)等を通じて、農林業での炭の利用技術や炭化技術が、諸外国に伝えてきました。
 その支援活動は有機農業の伝統が残る韓国や台湾、中国、東南アジア諸国をはじめ、塩性土壌に悩むオーストラリア、ダイズ栽培のために土壌改良を必要とするブラジルなどにも広がりました。現地では多くの研究者や技術者たちがその効果やメカニズムを再確認し、普及活動を始めるほどになっているそうです。
 海外でバイオ炭の利用に最も力を入れているのはアメリカで、「様々な規模での商業化を促進するための研究開発」「土壌改良と炭素削減価値のための生産と商品化」「経済性及びLCAに関する研究」「ビジネスの軌道に乗せるための研究・普及の取り組み」「長期間の炭素固定に役立つ化石資源由来でない更新性の肥料の開発」等に多額の国家予算が充てられています。
 また、オーストラリアやニュージーランドでは、バイオ炭の利用で農業部門からの温室効果ガスの80%を占める肉牛や羊の放牧で放出されるメタンガスをかなり抑えられ、炭による土壌改良で窒素肥料の過剰施用によるN2Oも含め他の温室効果ガスまで削減できることが期待されています。

参考資料:日本バイオ炭普及会 

 環境に優しいとされる間伐材利用策として、ストーブなどの燃料となる木質ペレットあります。
 この木質ペレットも化石燃料と同様に燃やすとCO2を排出しますが、これは木が生長する過程で大気中から吸収固定されたもので、トータルで考えると増加の原因にならず、化石燃料を利用した場合に比べてCO2削減になり、環境への負担が少ないといわれています。
 さらに、間伐材を利用して作られたバイオ炭の場合は、木材に含まれる炭素を安定した状態で固定しており、これを土壌に埋めることでCO2を大気中に放出せずに減らすことができます。
 木の生長も含めて総合的に考えると、CO2が±0(カーボンニュートラル)のペレット燃料より、大気中にCO2を出さずに減らせるバイオ炭の方が、より環境に優しい間伐材利用法といえます。

参考資料:バイオ炭(バイオチャー)CO2固定による温暖化防止 


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